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今こそ求められる「新しい経済」の実践知

一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)
理事長 大野修一

2020年度は、新型コロナウイルスの出現によりあらゆる社会活動が縮小や中止を迫られる未曾有の一年でした。日本だけではなく、世界中で、政治、経済、教育、文化など社会のあらゆる面でさまざまな問題が明らかになりました。さまざまな問題点が見えて来たと同時に、それらの課題を乗り越えるためのさまざまな試みが始まった年でもありました。中には、既に一定の成功を収めたケースも見られるなど、将来への明るい希望ともいえる動きも見えて来たと言えるでしょう。

人類の歴史を振り返ってみれば、厄災が社会変革を生み出して来た事例に事欠きません。大きな危機は、必ず革新的な変化を生み出し、そのおかげで人類は難局を乗り越えて来た史実がここにあります。つまり、コロナ禍という前代未聞の事態に直面している今、我々はまさに歴史的な転換点にいるということが言えるだろうと思います。

社会変革推進財団(SIIF) は、「社会課題解決と多様な価値創造が自律的・持続的に起こる社会を目指し、自助・公助・共助の枠組みを超えて、社会的・経済的な資源の循環の仕組みをつくる」ことをミッションとし推進してきました。

世界最速で超高齢化社会に突入する日本は、医療・介護システムの疲弊、子供の貧困、地方の経済衰退とコミュニティの消滅等の大きな構造的問題に直面しています。高度経済成長期に構築された、経済成長を前提とした政府による再分配モデルでは、こうした課題に対処できないことが明らかになっている今、官民の境界線を再定義し、新しい社会システムを構築していく必要があります。社会システムの一つとして、経済資本に留まらず、自然・社会・文化・感性等の資本を可視化・価値化し、循環させる仕組みの創出や再構築が大きな鍵を握ることになるでしょう。

2020年度を振り返ると、インパクト投資や休眠預金を活用した社会起業家支援などの分野で多くの成果を挙げることができました。インパクト投資の分野では、国内の先駆者としてはたらくFUND で2件の新規投資の実行、インパクトレポートの発行、GSG 国内諮問委員会の事務局として金融庁と共催でインパクト投資の勉強会を開催したほか、インパクト投資実施のガイドラインを作成しました。社会起業家への支援としては、2年連続で休眠預金活用事業の資金分配団体として採択され、ソーシャルビジネスを行う起業家への助成と経営伴走支援を行いました。また、「日本財団ソーシャルチェンジメーカーズ」プログラムを卒業した起業家への資本出資・助成、経営伴走支援、そして各地域の社会課題解決に向けて、新しい取り組みを企画している社会起業家の発掘と資金提供、独自の経営伴走支援を行ってきました。政府の財政支出が膨らみ続ける中、当財団は公的コスト削減に貢献できる革新的なサービスやプラットフォームを提供している企業を積極的に支援しています。

当財団は、社会にとって良いことを追求する資金や人材、知見等の資源が循環する新たなモデル事業を創出し、その呼び水となる投資を自ら実施するとともに、その事例をより多くの協働者に広げます。また、調査研究や政策提言によりモデル事業が拡大し発展するための環境整備を行うことで、社会課題の解決と価値創造が自律的かつ持続的に起こる資源循環のエコシステムを構築することを目指していきます。

インパクト志向の資源循環とは

社会課題解決や価値創造のための活動で、社会的インパクトを重視することを基本に、投資とは言えない資金(寄付や助成に近い資金)や人材、知見、その他の経済的価値では測れない社会資本、人的資本、感情資本等の価値の循環を指します。旧SIIFは、インパクト投資の市場構築を目標としていましたが、合併後は、より柔軟な資金提供、すなわち経済的リターンがそれほど見込めないため「投資」とは言えないが、寄付や助成よりは支援先にとって責任ある活動が求められる資金提供の方法(例えば元本だけは返ってくるなど)も視野に入れた支援も検討しています。私たちは資金提供者のリスク許容度にあわせた、より柔軟な資金提供が社会課題の解決に活かされる状態を目指しています。

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